未曾有 1

院長 辻中 まさたけ

3月11日の午前診終了後に自室で国会中継をテレビで見ていた。緊急地震警報が流れ、国会が揺れていた。その後30秒ぐらい経ってからだろうか、私が揺れた。画面が東北地方の状況を中継しだし、津波の発生も映していた。テロップでは98人死亡という文字が流れた。

皆さん御承知の東北関東大震災である。状況が明らかになるにつれ死者数は増え、1万数千人に現時点で及ぶという。そういえば、阪神淡路大震災のときは丁度朝早く起きて水槽の水かえをしていて水があふれ出てビックリしたのを思い出す。

亡くなられた多くの方々に心より哀悼の意を表したい。また、被災地で頑張っておられる住民の方々、職責を全うしていらっしゃる方々、そしてボランティアの方々にエールを送りたい。法医学をしていた為に被災地への検死班の依頼があったが、しばらく帰れなくなる可能性があるのでエントリーしなかった。悲しい現実である。

未曾有といわれるこの大震災、日本にとってまことに大変なことであり試練であるが、この状況より立ち上がってくれるのをこころより望むし、できるに違いない。ただし、未曾有という言葉にけっして騙されてはいけない。何でもアリ、になってしまう。日本という島国ができたのも富士山があるのも地球の活動の一つであり、人間はそのごく表層の一部で生かさせてもらっている動物なのである。地球は過去に巨大大陸を分断しヒマラヤ山脈もつくりだした。今後も活発な活動をするし、それが当たり前のことである。 

未曾有という言葉に踊らされ人間が人間をより窮地に追い込まないようにして、地球の「自然」に敬服して生かされているということに感謝することが肝要に思う。

 
 
 ↑ 先日いった阿蘇

 平成23年3月16日
 
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